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2008年11月09日

カシオペアシステムとトイガンを取り巻く法的判断


(非常に長文かつ私見が織り交ざります(^^;)


タナカワークスさんのニュースはご存知の方も多いと思います。


この件に関しては、人聞きする前にASGKさんのウェブサイトにて経緯をまとめた
ものが記載されていますので、そちらをごらん下さい。

ASGK(http://www.asgk.jp/
カシオペア製品について(http://www.asgk.jp/release/tanaka.html

少し長いですが、組合の判断やニュアンスなどを感じていただいた方が良いと思います。



今回の件を簡単に説明すると、

 「カシオペアシステムを用いるトイガンを科捜研が捜査・検査中」

です。

家宅捜査と押収自体は先月の時点で、初動捜査自体は発売後すぐに
始まっていたようですが、あくまで現段階では操作中であり立件された
わけではありません。ですが、メディアにまで報道されましたので、事は
ずいぶん進んでおり、落とし所はもう決まっているのかもしれません。



この件には、昨今の改正銃刀法関連に関するトイガンの違法改造・
検挙などに比べて更に比重の重い重大な事件です。

この件に関する警察機構への過剰な反応は控えて、静かにタナカさんの
発表を待ちましょう。

ASGKやタナカさんへの問い合わせもお控え下さい。



私自身、トイガン・ミリタリーホビー関連は「こういう趣味だからこそ、公的
判断には従うべき」と考えています。

これは「右にならえ」「長いものには巻かれろ」という意味ではなく、私たち
トイガン・ミリタリーホビーユーザーが当たり前だと思っている感覚と、そうで
ない人たちの感覚に大きな開きがあるためです。

今回のカシオペアトイガン捜査はニュースになり、ミリタリーホビー業界
(ユーザー含む)以外の人の目にも触れました。そうするとやはりその
人たちが思うのは「危険なトイガンを産出するトイガン業界は悪い」です。

私も含めてトイガンに関わる人の抗弁は色々あるのですが、これが
一般的な感覚です。


私はトイガン(エアガン)としては、東京マルイさんの電動ガン、MGCさんの
ガスブローバックガンが出始めた頃よりトイガン内部の構造も含めて興味
を持って見てきました。その15年余りの中でも、今回のカシオペアシステムは
非常に面白く、かつ安全性にも配慮した素晴らしい機構だと思っています。

ASGKサイトでもあるように、カシオペアシステムはそのまま実弾が使用
出来る仕組みではありません。今回の捜査は、ほぼ新造とも言える大改造の
末、激発機構を有するだろうという法的判断です。

これがアウトなら他の貫通シリンダーのリボルバー型エアガンや、トイガン
用火薬を激発するモデルガンはどうなんだという意見もあるでしょうが、
警察機構が特に「蓄圧カートリッジ」に対して過敏になっている部分もあるでしょう。


トイガンユーザー以外の人の感覚、公的機関の判断、ともに私たちトイガン・ミリタリー
ホビーユーザーの感覚よりも「社会的で正しい」とされるものです。

それを踏まえた上で、冷静に自体の動向を見守りましょう。



トイガンを取り巻く法的要素はここ数年で急激に変化しました。


銀ダマ鉄砲片手に近所の裏山を走り回っていた少年も、いまや
20~30代以上の年齢です。「間違い」を犯しても近所の怖いオヤジ
さんにゲンコツ貰って終わりというわけにはいきません。

出力をアップすると銃刀法に触れますし、適当な山などでも私有地なら
不法侵入にあたります。公園や河川敷などの公共地であっても、
市町村条例により有害玩具の使用が制限されている場合もあります。


こういう「合法」「違法」の狭間にあるホビーはいくつかあります。

ホビーに興じる人だからこそ、熱心にその事に関して考え、その
合法・違法のラインを明確に認識しようとする傾向があります。
その熱意は悪いものだとは思いません。

ですが、そもそも法律というもの自体があやふやな表現や規定の
ものが多く、その場によって別個の判断をされる事も多いです。

ひとつ指標があるとすれば「社会的に有意な判断をする」という事です。


今のトイガン・ミリタリーホビーの傾向は「リアルなもの」を求めていますが、
これは社会一般からすればマイナスの方向に進んでいるとも言えます。

現在の日本では、銃や兵士は畏怖される対象なのです。

私自身も「兵士は国を護る大切な職種」だと思っていますが、それとは
別にやっぱり社会通念としての感覚も持たなければならないと考えます。




(ついでに、トイガンの出力に関して)

法関連でここ数年での一番の話題といえば「銃刀法による出力制限」です。
改正銃刀法による業者やユーザーの検挙も相次ぎました。


おおまかな判断基準として「1J以上は準空気銃として基本規制される」です。

1J(ジュール)って?というと「0.2g弾で100m/sの速度」の状態でエネルギー値は
約1Jになります。弾の速度は「弾速測定器」で計ります。

ここで問題なのが「使用するBB弾は本当に正確に0.2gなのか」「測定器は正確な
速度を表示しているのか」です。


市販のBB弾は、0.2g、0.25gをメインに各種ありますが、表示重量に平均値が
近いものはあれど、例えば全てが表示重量丁度というのはありえません。
私が手持ちの電子重量計で計った範囲でも最大5%の表示重量からの差異がありました。

測定器に関しても、同じ機種で同じ場所・同じエアガン・同じ重量の弾で計測しても
数値が違う事はよくあります。あくまで目安としての測定器であって、その数値
を法的に保証するものではありません。状況によっては10%以上の誤差も発生します。


この状況では「1.1Jだからお前の銃はアウトだ!」や「0.9JだからこれはOKだね」という
フィールドでよく聞く会話の根拠すら成立しません。

このあたりを法的に判断出来る(証明を出せる)のは、一部の研究機関と警察機構
だけです。無改造で法改正後の製品の場合はメーカーに製造者責任が発生します。


この法的判断と、サバイバルゲームにおけるフィールドレギュレーションはまた別です。
ほとんどのゲームフィールドさんでそうだと思うのですが、フィールドの備品の測定器
を基準に使用エアガンの是非を判断していると思います。

例えばフィールドレギュレーションの上限が「0.2gで90m/sまで」だとして、フィールドの
測定器が「91m」を表示した場合に、その人が「自分の測定器では89mだった」と
言っても通りません。ルールはルールです。


また、フィールドの公衆の面前で1Jを超える数値が出た場合でも、上記のBB弾の
重量誤差、天候などによる測定環境のバラツキ、根本的な測定器の誤差と「証明
可能な測定器」であるかどうか、などの理由で「通報義務」が発生するとは私は
思っていません。そもそも、そこまで強力な義務規定は一般人にはありません。

ですが、測定値以上の数値を出すトイガンが頻繁に持ち込まれている場はとても
普通だとは思えません。


法律であっても、ローカルレギュレーションであっても、ルールがあるならその許容
範囲ギリギリを狙うというホビー的な感覚は分からないでもないですが、いま現在
シビアな状況に立たされているトイガン業界では多少余裕を持ったラインで楽しむ
べきじゃないかと思います。




(トイガン・ミリタリーホビー・サバイバルゲームに関して)


サバイバルゲームをスポーツライクに扱う考え方がありますが、過去から現在に
いたるまでのサバイバルゲームの状況ではとてもスポーツにはなり得ないと思います。

そもそもスポーツは「健全」であるべきだと思います。

軍用銃は理由はどうあれ人に向けて撃つためのもので、それの外見を
リアルに再現したトイガンを用い、基本コスチュームは軍装を基調とした
ものであるサバイバルゲームは、おおよそ健全とは言えません。


スポーツライクさを追求しているものではペイントボールがあります。

ペイントボールは、フルフェイスのゴーグルを付け、防護性の高いツナギなどの
ユニフォームを着、競技に特化した外観のペイント銃を用いていて
十分「競技・スポーツ」と言えるものだと思います。


サバイバルゲームがスポーツでないといけないのか?というと私はそうは思いません。

今主流の「リアルな外観のトイガン」「軍装を基調としたコスチューム」
「当たるとちょっと痛い程度の出力」などのバランスを結構気に入っています(^^

ホビー・レクリエーションの範囲で十分なんじゃないでしょうか。



サバイバルゲームを「周囲の人に胸を張って言える趣味」とするには、
数々の要素を排除しなければなりません。それはもう今のサバゲではありません。

社会一般に認められるスポーツではなくても、サバイバルゲームは
ガンや装具のコレクション、ゲーム中の運動量に緊張感、仲間との協調や
展開に関する思考など、優れたホビー要素が多く含まれて居ます。


危険な業界を匂わすメディアの報道や、不条理とも言える警察機構の捜査、
トイガン・ミリタリー業界視点で見るとマイナス要素ですが、報道や捜査も
悪意を持って行っているものではありません(当たり前ですが)。

業界が良い状態で存続するには、自分の趣味を継続出来るには、
という考えだけでもおのずと各人の行い、振る舞いなどすべき事は見えてきます。


端的に言えば公共性と趣味性は相反するものです。


ここ数年の変化によって、メーカー、ショップ・ディーラー、ユーザーともに
何かしらの指標を見い出しそうな雰囲気がありますので、それに期待したいです(^^  


Posted by 明日香太郎 at 23:25その他雑記